COVID-19 の渦中で私たちは手を携えているか MedTech およびヘルスケアに対する積極的行動の呼びかけ

著者 Dr. Jesus A. Cabrera, Jehanzeb Noor, Gary Barrett | 主な寄稿者 Joel Williams, Albert Lim, Nigel Bark

目的および見解の概要:

COVID-19 による前例のない健康危機および経済危機から教訓が浮かび上がる中、MedTech およびヘルス ケア企業は今から次の12~24 か月に備えておく必要があります。そこで私たちは、米国内外を問わず、医療バ リューチェーンのために未練を残さない戦略を示すこととしました。本文書では、パンデミックの危機に地球規模で 打ち勝つために、一般市民、政府、MedTech 企業、およびダウンストリームの医療提供者の皆様のシステムに 役立つアイデアを提示させていただきます。提示するアイデアが、世界中の医療システム全体から効率的かつ 効果的な対応を取ることで、医療提供者の皆様が多くの命を救う上でお役に立てれば幸いです。

免責事項:本書の私たちの見解は、専門家や政府の意見、あるいは世論を否定または確認することを目的としたものではありません。本論説の情報は2020 年5 月付けのものです。翻訳は参考訳であり、英語原文を参 照ください。

現在のパンデミックの概要

2019年12月、SARS-CoV-2ウィルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)によって引き起こされる疾患 であるCOVID-19が最初に検出されたとき、経験豊富な公衆衛生の専門家たちは、それが過去100年間で世 界規模での最悪な公衆衛生危機へと急速に広がるとは予想していませんでした。パンデミックが最初に検出さ れたのは2019年12月8日で、世界的なパンデミックと宣言されたのは2020年3月11日でした。ジョンズホプキンス 大学のコロナウイルスリソースセンターは、2020年5月1日、3,303,000人以上の世界的な感染と235,000人の死 亡を報告しました。

今世紀に入ってこれまでに大流行したコロナウイルス、SARS CoV-1およびMERS同様、COVID-19は国際 社会が油断しているところを襲ってきました。その今後の経過は依然として極めて予測不能です。他の重篤なコ ロナウイルスの疫学はSARS-CoV-2とは大幅に異なるため、このパンデミックの進化に対する予測モデルを示す ことはできない可能性があります。しかし、他のインフルエンザの大流行が適切な比較対象になり得る可能性が あります。1900年以降、1918~19年、1957年、1968年、2009~10年の4回、インフルエンザの大流行が起こ っています。COVID-19の蔓延と流行性インフルエンザの類似点および相違点は、COVID-19パンデミックの過 程で考えられるシナリオの実例であり、グローバルな業界として準備すべきことを教えてくれるでしょう。

COVID-19の蔓延に関する非専門家および臨床的な報道内容は、中国でのウイルスの出現とヨーロッパおよび 北米へのその影響に焦点を当ててきました。パンデミックの拡大は、世界の開発途上地域において検査や死者 の数が増えることからやがて確認されるため、強固なヘルスケアのインフラ整備不足、ならびに他の感染症、栄 養失調、慢性呼吸器疾患などの併存疾患に対応する必要があります。これらのストレス要因が加わったことに より、1918~19年のパンデミックで起きたように、より深刻な影響をもたらす可能性があります。

COVID-19と流行性インフルエンザ – なぜCOVID-19は危険なのか
コロナウイルスはインフルエンザウイルスとは著しく異なりますが、COVID-19パンデミックと流行性インフルエンザに は類似点があります。まず、SARS-CoV-2と流行性インフルエンザウイルスは、世界中の人口が既存の免疫を ほとんどあるいはまったく持たない新規のウイルス病原体であり、それにより世界的に罹患性が高くなっているの です。第二に、SARS-CoV-2とインフルエンザウィルスは、主に呼吸経路を介して蔓延します。無症候性感染 はどちらのウイルスでも発生するため、ウイルスが検出されずに急速に蔓延する原因となります。最後に、どちら のウイルスも数億人に感染し、世界中を急速に移動する可能性があります。

相違点には潜伏期間が挙げられます。インフルエンザの平均潜伏期間は2日間と短いですが、COVID-19はよ り長く、5日間です。COVID-19の潜伏期間はより長いため、ウイルスが検出される前に症状を引き起こさず に別の集団に移動する可能性があります。

2つ目の相違点は、2つの感染症の無症候性感染者の割合です。現在の情報によると、COVID-19の無症候 性感染者の割合は全症例の25~80%ですが、曝露人口に対して検査がより広く行われるようになると、おそら くこれは変わり、高い方の値に範囲が狭まる可能性があります。インフルエンザの歴史的な無症候性感染者を 評価した研究によれば、歴史的に見てこの割合は16%近くになったことを示唆しています。COVID-19の無症 候性の割合がより高いことは、すでに感染力が非常に強いこのウイルスの急速な広がりに関与しているため、最悪のシナリオに備える必要があります。

この概念を展開すると、SARS-CoV-2のウイルス量は症状発現時が最も高いことが最近の研究で分かって います。これは症状が発現する前にウイルスの排出がピークに達する可能性があることを示唆しており、発症前 の患者からの感染が多いことにつながっています。

過去のインフルエンザパンデミックから学んだ教訓

1700年代初頭以降に発生した8つの主要なパンデミックのうち、7つは最初のピークが数か月間で消失しました。その後、これら7つではそれぞれ、最初のピークから約6か月後に2番目の実質的なピークが認められました。一部のパンデミックでは、最初の波から2年かけて症例の波が小さくなっていきました。過去のインフルエンザパンデミックの歴史から、COVID-19パンデミックに対する有用な洞察が得られる可能性 があります。

 これらのパンデミックのほとんどの経過には、予防接種キャンペーンは実質的に影響しませんでした。こ れは、ワクチンが作られるようになっても、喫緊の必要事項は準備であることを示唆しています。 この特殊なパンデミックの経過もワクチンの影響を受ける可能性はありますが、信頼性の高いワクチンの 大規模生産は、少なくとも2021年までは行われない可能性があります。また、ワクチン開発中のスケジ ュールの遅れや、2021~22年以降に別の新たなワクチンが必要になるかなど、どのような問題が発生 するかは分かりません。さらに、ウイルスが変異してその致死性が維持された場合は、新しいワクチンを 開発する必要があります。

 ヒトにおける集団免疫は徐々に進むため、パンデミックの期間はおそらくさらに12~24か月となるでしょう。ウイルスの伝播性を考慮すれば、パンデミックを阻止するには、集団免疫の臨界閾値に達するように、人口の最大70%が免疫を獲得する必要があるでしょう。ソーシャル・ディスタンシングは、パンデミックの曲 線をなだらかにするだけでなく、集団免疫までの時間も遅らせる可能性もありますが、ソーシャル・ディス タンシングにより医療システムは守られます。

 自然のSARS-CoV-2感染に対する自然免疫の持続期間は分かっていません。一部の研究、たとえ ば韓国では、自然免疫が証明されています。しかし、持続期間は未だ明らかになっていません。
 ここで留意すべきは、上記はこのパンデミックが消滅するのに自然免疫が12~24か月を超えて持続し た場合のみ当てはまり(またはワクチンが見つかった場合は前述のとおり)、それ以外の場合は風土病と なることです。

これらの知見は、今後のシナリオ計画を準備する土台となります。

COVID-19パンデミックの進化の潜在的シナリオ

多くのオピニオンリーダーは、COVID-19パンデミックがどのように進行していくかを示すいくつかの異なるシナリオを 作成・提案しており、中には過去のインフルエンザ大流行時に起きたことと一致するものもあります。これらのシナ リオの1つが上手くいくのか、または治療方法、検査およびワクチンの開発による介入に基づいた別のシナリオが 実現するのか、それとも、このウィルスが致死性の低い形態へと変異するのか、それは時が経たなければ分から ないでしょう。私たちは、業界として検討すべき3つの潜在的シナリオを想定しました。

 シナリオ 1: 2020年春のCOVID-19の第1波に続き、夏の間はより小さな波が繰り返し起こり、その後 1~2年間は変わらず、2021年には徐々に減少してきいます。このシナリオでは、波のピークの高さに応 じて、今後1~2年間は緩和策の定期的な再設定および軽減が必要になるでしょう。

 シナリオ 2: 2020年春のCOVID-19の第1波に続いて、2020年の秋または冬により大きな波が起こり、2021年に1つ以上の小さな波がやってきます。このパターンでは、感染の拡大を抑え、医療システムの 過負荷を防ぐため、秋に緩和策を再度設ける必要があります。このパターンは1918~19年のパンデミッ クに類似しています。このパンデミックでは、1918年3月に小さな波が始まり、その夏に静まりました。そし て、はるかに大きなピークが起きたのは1918年秋でした。1919年の冬と春に第3波が起こり、1919年夏 に第3波は静まり、パンデミックは終わりを告げました。1957~58年のパンデミックは同様のパターンをた どり、春に小さな波が起きた後、秋にはるかに大きな波が起きました。2009~10年のパンデミックも、春 の波が起きた後に秋により大きな波が続くというパターンを辿りました。

 シナリオ 3: 2020年春のCOVID-19の第1波が起きた後は、断続的な感染と症例の発現の「ゆっくり とした燃焼」が続きましたが、明確な波のパターンはありませんでした。

パンデミックがどのようなシナリオをたどっても(少なくともある程度のレベルの継続的緩和策を想定している 場合)、様々な地域で定期的にホットスポットが出現するため、少なくともさらに12~24か月はCOVID-19に対 する重要な活動に備える必要があります。

過去のインフルエンザパンデミックから私たちを導いてくれる情報を拾い集めることが期待できる限り、世界はこの 100 年で変化してきたと言えるでしょう。地球上のあちこちへと移動することがはるかに増え、そしてずっと速くなっ ています。今やグローバリゼーションにより世界のへき地にも行けるようになり、医療技術の進歩にもかかわらず、このような病気がより速く伝播することを予測しなければなりません。

ウィルス検査開発

症状を呈する患者に対するウイルス検査が確立されています。この検査はPCRベースで、ウイルスの核酸の有 無を検査するものです。この検査は広く行われており、技術はよく知られていますが、検査方法は依然として複 雑で、特殊な試薬が必要です。時々、これらの特殊な試薬へのアクセスや入手が困難になり、検査の普及を 妨げてきました。この検査は調査のために重要であり、また、接触者追跡を行って地域での無症状患者の蔓 延を抑えるのにも重要です。さらに、多額の費用が掛かります。米国市場において適切な検査を大規模展開 した場合、月額150億ドルと見積もられ、これを実行するのは容易なことではありません。

ウィルス曝露検査の開発

集団免疫の達成レベルを把握することは重要です。誰がウイルスに曝露したかを把握するための集団の検査に は、感染患者の血液検査を行って、ウイルスに対する抗体の存在を評価する必要があります。抗体が存在し ていれば再感染に対する免疫となるかもしれませんが、この免疫の有効性と持続期間についてはさらに理解を 深める必要があります。

ワクチン開発

ワクチン開発の複雑性は軽視できません。下表は、Callaway(Nature 2020年4月;580(7805)576-7)が発表し たものの参考訳です。現在25社を超える製薬会社が様々な経路でワクチン開発に携わっています。企業の多 くはワクチンを開発するために戦略を用いたスケジュールとモデルを確立しており、その戦略には弱毒化されたウイ ルスを使った標準的な方法や、核酸やタンパク質に基づく手法を使った新しい分子方法論などがあり、これらに よって安全で効果的なワクチンを臨床により早く届けられる可能性があります。どちらの方法で最初にワクチンを 患者に届けようとも、製造および流通どちらの観点でも、何億人もしくはそれ以上の患者を治療するためのワク チン準備のスケジュールは気が遠くなるようなものであり、時間がかかるでしょう。さらに、このウイルスの一定の変 異率および周期性により、継続的に適切に防御していくには、時間とともに、新たなワクチンを開発する必要が 出てくるでしょう。これは、パンデミックの歴史と併せて、強固な準備が必要となります。

スケジュールは長期に及び、また大勢の人々にワクチンを供給できるようになるには期間が必要であることから、たとえワクチンが今使えるようになったとしても、安全かつ制御された方法(ソーシャル・ディスタンシングを行うなど)において、検査はワクチンの利用可能性と同じく、あるいはそれ以上に重要であるとも言えます。人口地域(都 市、州、国家レベルにおいて)でどのレベルまで免疫を獲得できたかを把握するため、抗体検査は現在も、そし てこれからも重要であり続けるでしょう。社会的行動規則や規制を確認するのに適用される精巧なモデルはい ずれも、使用するデータセットの完全性や正確性に依存します。予測モデルの高度化を促進することは、高品 質で大量のデータセットを収集する能力を向上させることほど重要ではありません。たとえば、ある分析によれば、米国では、2 月/3 月に平均以上の不可解な死亡が示されています。これは、最初の2 か月にCOVID-19 に 起因する初期の死亡を実際よりも少なくとも50%少なく数えていたかもしれないことを意味する可能性がありま す。

MedTech業界とサプライチェーンへの影響:いくつかのアイデアと学んだ教訓

検査やワクチン接種への道にかかわらず、MedTech業界は、これまでの慣例にとらわれず事前措置を講じてさ らに適切に準備することができます。現在の傾向での合理的モデリングは、米国内でのパンデミックには、集団 免疫を獲得する前に、入院のさまざまな段階において延べ入院患者日数が5,000万を超えることを示唆してい ます。この結果への道は(ソーシャル・ディスタンシングの順守と医療機関の対応能力)、結果として生じる死亡 数を大きく左右します。今のこの状況を助けるために、未練を残さない戦略があります。たとえば:

 訓練されたスタッフの不足に対応するため、病院ネットワークにトレーニング中や研修中の看護師/医 師を配置することができるでしょう。政府は、介護の必要性が低い国から介護の必要性が満たされていない地域に医師や看護師が移動するための就労許可を促進することもできます。さらに、COVID-19 のホットスポットでは、NGO(国境なき医師団など)などの代替ソースから十分に訓練され た人材を活用できる可能性があります。

 MedTech メーカーは、関連するすべての製品を同時に生産しようとするのではなく、専用のデバイスの 製造をいかに拡大していくかを決める上で協力していくことができるでしょう。これにより、デバイス群の標 準化が進み、医療提供の効率がさらに向上する可能性があります。またMedTech 企業は、IP のリリ ースや共有も提供できるようにすべきでしょう。さらに、資金繰りが苦しい医療提供者に対しては、商取 引条件において可能な限り柔軟性を示すべきでしょう。その上、特定のMedTech 企業では、COVID 関連のデバイスを供給する能力が、「通常のビジネス」の技術力や規制では難しい場合があります。誰 がビジネスを維持するのかを気にかけるのではなく、常に患者を最優先に考えるために、今こそ垣根を 越えて、同業他社に助けを求め、影響を受けている顧客を支援するときです。同業他社やサプライヤ ーとの間で取り決めを明らかにすれば長期的なビジネスの利益を守ることができ、これは相互に排他的 ではありません。

 代理店は、COVID-19 における一連の治療で高い確率で行われる手技に対しては、あらかじめキット 化されたものを提供できるように病院への配送方法を再設計することができます。これにより病院での 付帯作業が減り、医療提供者の皆様は実際の患者に対し最大限の治療を提供することができま す。

上記のシナリオ2 に従ってより大きな第2 波がある場合、またはウイルスが変異して他の人口統計により深刻な 影響を与える場合には、輸液ポンプ、呼吸補助装置(ET チューブを含む)、ICU 及び非ICU 用人工呼吸器な どのデバイスが継続して制約されることが予測されます。さらに、ほとんどのメーカーが3~6 か月間流れを止めて いたことを考えると、任意の手技に必要なデバイスの不足が今後12 か月で明らかになってくるでしょう。病院は、任意の手技のためのデバイスの備蓄が必要になる少なくとも2~3 か月前には任意の手技の再開を通知し、代 理店はこれらの要求の通知を集約する上でMedTech 企業を手助けいただければと思います。これは、曲線が なだらかになり、COVID 関連需要が減少することについて、病院が合理的な仮定を立てられることを前提として います。さらに、地方自治体や州レベルの政府は、COVID-19 と待機的手技ための任意のデバイスの両方に 関し、予測モデルおよび在庫管理をサポートする役割を果たすこともできるでしょう。

規制当局および政府機関の見解:

FDA、MHRA、並びにBSIなどの通知機関を含む世界中の規制当局は、増え続ける患者のニーズに応え、前例のない方法で目的に集中して取り組んできたことが分かります。当該機関は、手順を合理化し、緊急措 置を講じ、特例などの実際的なアプローチを示してきました。当該機関は、不足している必須デバイスの有効 期間を安全な方法で延長し、申請/承認手順を世界的に標準化するなどの措置を講じることでさらに支援で きるかもしれません。COVID-19の状況下では、国境を越えた協力がかつてないほど重要になっています。コミュニケーションをさらに迅速化するために、EUなどの組織からより多くの協調とサポートも必要です。医療機 器規制(MDR)の実施を1年間延期することは歓迎すべき動向であり、南アジア地域協力協会(SAARC)など の他の多国籍フォーラムでもCOVID-19関連の措置を迅速に検討できるでしょう。

ソーシャル・ディスタンシングとステイホームが標準になり、医療バリューチェーンにおいて不可欠なビジネスを担うこ とに混乱が生じています。サプライチェーンの全体的な性質を考えると、予期せぬ供給の混乱を避けるために、 政府は医療およびMedTech 関連において不可欠なビジネスと見なされるものについて整理する必要がありま す。小さな部品が不足しただけで、重要な医療機器の生産が急停止してしまう可能性があります。そして、2020 年の秋に再度ウイルス感染の波が生じた場合には、より確実にこれを回避しなくてはなりません。すでに行 われている所もあるように、政府は、医薬品、特にPPE(Personal Protective Equipment)の価格設定と供給 条件について、事後に「逮捕と罰金」を行う代わりに、明確に規則を定めるべきと考えます。これにより、事前の 買いだめや価格の高騰を回避できるでしょう。さらに、政府は医療バリューチェーンの特定分野に支援資金の一 部を明確に割り当ててもよいでしょう。たとえば、苦しくなり始めている小規模な病院やMedTech の小企業がサ ポートを活用できるなどです。最後に、MedTech 企業が資金不足を克服するためにコンソーシアムやライセンス 許諾に知的財産を公開する際、将来的に収益と雇用を失う脅威を踏まえ、技術のライセンス許可を付与した り、技術を提供する意思のある企業をどのように保護していくかについて、政府は基本ルールを決めることができ ます。

開発途上国と新興市場に対する特別配慮

世界の医療に関しては、個別のアプローチが必要です。手動式や適応拡大されたデバイスは、デバイスがない よりはましだということを忘れてはなりません。今日、開発途上国には人工呼吸器を備えたICU ベッドがほとんど ない国がいくつかあります。今、これまで以上に、ゲイツ財団のような団体や他の世界的保健機関などと提携す る必要があります。MedTech 企業は、可能であれば各国特有の経済情勢に合わせて価格を調整することで 支援できるでしょう。これは、より裕福な国が裕福ではない国に援助して人命に敬意を示すことを意味するかも しれません。ナショナリズムや愛国心と言った心情は難しくなりがちですが、ドイツのような国は、少なくとも短期間 のうちに、必要のないものを寄付したり、他国からの重症患者を受け入れるなどしてリードしています。そこで私 たちは、特に開発途上国の小地域や、このような非常に危険な時期に保健システムが危機に瀕している地域 に、商品やサービスをニーズに基づいて自由に流通できるようにすることを提言します。同様に、患者が必要時 に遅延なく治療を受けられるようにするために、各国が「現地で作られた」制限を12~24 か月間緩和することを 提言します。

その他に主に気付いた2 点は、開発途上国の各国政府に関してです。第1 に、通常の使用パターンや優先度 から逸脱している場合でも、市民を助けることができるデバイスや治療を学び、受け入れること(たとえば、ICU ベ ッドや人工呼吸器が不足している場所には非ICU の人工呼吸器を検討するなど)。第2 に、検査レベルや特 定された感染数が低くても、ウイルスが蔓延し、すでに地元住民に浸透していることを受け入れること。また、特 定されたものと比較して何倍もの症例数に対応できるように、備蓄と医療提供者の両方を準備しておくこと。ウ イルスの出現と影響は、どのような経路を辿ったとしても時間の経過とともに明白になるでしょう。また、人口が 多くて密度が高く、リソースが少ない国では、予防的な検出と対策が非常に難しいことも理解できます。アフリカ 連合のような地域事業体は、アフリカ大陸でのCOVID-19 への対応の取り組みにおいて、結束を促す上で重 要な役割を果たす可能性があります。今後12~24 か月間に向けた準備を支援するためにグローバルな MedTech 企業に手を差し伸べることは、これらの主要な地域事業体の見識、機器、リソースの重要な供給源 になり得るでしょう。

Smiths Medicalが果たす役割

補完的なバイタルケアのポートフォリオを持つグローバルな医療ソリューション企業として、昔からの強力な足跡を 持つ市場(米国およびヨーロッパなど)および当社の販売代理店市場(アフリカ、中東、ラテンアメリカ、東南アジ アなど)の両市場において、私たちはCOVID-19や以前からの慢性疾患に対する一連の治療にわたり、医療 従事者の皆様にサービスを提供していくことに重点を置いていきます。役割を踏まえ、私たちが学んだ、他の MedTech企業にも役立つ可能性のあることを以下にまとめます。

1. 断固として行動を起こす-不確実性と需要の急増を考慮して、確実でなくても、デバイス不足に直面 する可能性のある領域では、財政的リスクを負ってでも生産を拡大することをいといません。また、遠隔 医療をサポートするためのトレーニングとトラブルシューティングをリモートで実行できるツールに投資しま す。従来の予測方法とトレーニング提供方法に依存していると混乱が生じます。

2. 人員を再配置する-任意の手技のためのデバイスから必須デバイスまで、長期的な戦略プロジェクトを 遅らせたり、マージン管理などの分野での取り組みを遅らせます。

3. 協力し合いながら提携する-現在の大波、そして前述のシナリオ2 のように、より大きな第2 波が起きた 場合の潜在的な大波に対するデバイスニーズに対応するジョイントベンチャーやコンソーシアムに投資し ます。ほとんどの企業は、このような時期に喜んで支援し、経験豊富な労働力を共有することを厭わな いでしょう。

4. 危機管理のための専用チームを作る-通常の立ち上げ時に社内で密に協力し合っていたとしても、部 署間をつなぐ戦術チームがあると非常に有用です。

下図に示すように、これらのアプローチは、一連の治療をとおしてCOVID-19 の治療をグローバルで サポートするため、企業として強固な解決策とデバイスを提供する上で役に立ちました。

ホームページ:https://www.smiths-medical.com/covid-19-response

E メール:covid-19-response@smiths-medical.com

5. 思いやりを持つ-最前線にいる同僚に感謝し、方針、福利厚生、PPE を通じて保護します。2020 年秋 の次のインフルエンザシーズンの2~3 週間前(または地域の状況に応じて)には、ソーシャル・ディスタンシ ングと保護対策を再開することをあらかじめ考えておくことが必要です。その他の不可欠なビジネス、サプ ライヤー、および医療提供者ネットワークも同様のことを検討すべきです。

この危機に私たちがどのように行動し、提携を組むかによって、私たちの個人および企業としてのレガシーが決ま るでしょう。完璧ではありませんが、COVID-19 への対応における創造性と精神はすばらしいものでした。これら が他のテーマの中でもとりわけ、遠隔医療、社会および保健政策、または規制関連業務に関係しようがしまい が、この危機から生まれる卓越性に人類は新たな方法を学ぶだろうと確信しています。本文書で共有された見 解が、今後の対応や協力への後押しになることを願っています。次のステップとして業界コンソーシアムの形成が 挙げられますが、特により一般的に供給されている製品で次の波に向けた準備を進めていくことを中心に、特 定した計画ポイントの一部またはすべてに対応していく必要があります。コンソーシアムでは、需要の高い地域や 開発途上国にサービスを提供できるジェネリック製品の開発を後援することも検討できます。Smiths Medical は、このような取組みの先導や参加に興味を示すこともあり得るでしょう。

私たちは、この危機を克服するための人類の回復力と創造力を信じています。また、対応システムを稼働させ 続けるために、期待を遥かに超えて最前線で働く医療提供者並びに生産労働者/ヘルスケア従事者という形 のすべてのヒーローの皆様に感謝します。全世界が皆様に心から深く感謝しています。著者および主な寄稿者は、意見を惜しみなく共有し支援してくれた社内外の専門家および研究者に感謝しま す。本論説の見解は著者のみのものです。

著者:Dr. Jesus A. Cabrera:クリニカル・アフェアーズ リーダー、JehanZeb Noor:グローバルビジネスリーダー、 Dr. Gary Barrett:薬事及び品質部門 グローバルリーダー 主な寄稿者:Joel Williams:米国 ビジネス リーダー、Nigel Bark:EMEA、Albert Lim:APAC – いずれもSmiths Medical 社員。